子供の入園式2日前、アマゾンで買い物をしようとしたらクレジットカードを確認するから番号を再入力しろと言われる。物理的なカードなんて使う機会がないから探したが見つからない。そういえばセカンド財布もクレジットカード入れも最近見てないなと仕事場に行ってみたり物置を覗いたりしてもやっぱり見つからない。失くした可能性はないけどどこ行っちゃったのかな?と問題が解決しないまま眠る(後日とmこさんに預けていたことを思い出す)。
数週間前から幼稚園の入園準備は少しずつ進められていて(といっても殆どとmこさんだが)、4月から生活がまた変わるなぁなんて思いながら白髪を染めたりスーツを引っ張り出して着てみたりしていた。前回いつ着たのか全く思い出せない。10年近く着ていないのではないだろうか?20代で作ったスーツは殆ど着ていないのでシルエットが古いかもしれないが生地は傷んでおらずまだ着れた。新調せずとも良かろう。だが入園式の朝にベルトと白い下着と黒い靴下が見つからず、仕事場でベルトを探しセブンでシャツと靴下を買った。プレーンノット?忘れた~とネットで調べながら紐を首に巻く。結んだネクタイが斜めだが出発時間なので諦める。歩いて幼稚園に向かう
幼稚園に到着すると僕らと同じように両親に連れられた子供たちで溢れていた。見回しても僕より年下のお父さんは居なそうだった。ボリュームゾーンは30代、自分は悔しくも入園日に50歳になりました。まさか50歳で自分の子供の入園式に出席する人生だなんて想像もしていなかった。本来なら33歳頃に入園式に出席するはずだったが、その前に元奥さんが子供を誘拐して出席できなかったんだよなぁなんてことを思い出したりする。随分時間がたったのでもうそこに特に感情は湧かない。「幼稚園って何年保育だっけ?」と雑談のように聞いたら「3年に決まってる!」烈火のごとく怒りだしたことを思い出す。今調べたら2年保育と3年保育(今は4年保育もあるらしい)の2種類があって当時の僕の問いかけは見当違いではなかったはずなのだが、その頃には僕は敵のような存在だったのだろう。元奥さんは自分が一番でいられなくてヒステリーを起こして離婚を突き付けてきたが、結果としてその行動力のおかげで今の平穏な暮らしがあるんだよなぁと感謝の気持ちさえある。なんで子供の入園式でそんな事を考えているのだろう?良くないなと思うが、人生というものは常に繋がっていてぶつ切りにできない。関連した物事は脳が勝手に記憶を提示してくる。
園の方針で子供の傍にいられる保護者は一人と決まっていて、大半の父親は廊下やホールの端で見守る形になった。入園式は子供との距離が30mほど離れていた。なので参加者というより傍観者に近く入園式に集中できない。いや集中しなくちゃいけないような催しでもないので色んな雑念が頭を過った。
幼児と母親で占められたホールというものは、本当に独特な場所だと感じた。悪が欠如している。まだ子供の感情が発達していないので心に悪が発生していない。母親の中には悪があっても綺麗に隠れている。とても多くの人間が集まっているのに悪の気配がない。うまく表現できないけれど、例えばショッピングモールに行けば誰かしら不機嫌なので負の感情から生まれる悪は簡単に感じ取れる。ギスギスしてるとかでも言えば良いのだろうか?それがない。一般的には微笑ましい風景なのだろうが、僕にはディズニーの世界のような違和感も感じる。同時にこういう場所を劇的に憎む存在が出てきてしまう事にも少し納得してしまう。宅間守みたいな人間はどうしても生じてしまう。憎まれるほどに幼稚園や保育園、小学校はある種の人には眩しすぎるのだと思う。一方で水筒に尿を入れたり暴力をふるったりする人間がいるが、どちらかと言えば日常生活の延長の悪意を幼児に行使してしまう人の方がもっと悪質な気がする。適性がないなら保育施設から離れれば済むのにわざわざ弱い対象に害をなしてしまう。そこまで人としての倫理は落ちぶれてしまうものなのだろうか?
園長の挨拶を見ながら人生というのは本当に様々だなと思う。幼児に分かるように大きな身振り手振りで分かりやすく話す姿は道化に徹していてこの人からも悪の気配は感じない。表面だけなぞればさして難しそうには見えないが、ずらりと並ぶ保育士たちを統率しながら経営するのはとても大変だろう。僕には決してできない仕事だなぁと感心する。年を取れば取るほど仕事というものは外交力というか顔の広さが重要なのだと知る。そしてその才能は後天的に取得できない。自分のような偏屈な人間は人と繋がるとトラブルを呼び込む。なので感心と羨ましさを感じながら式を眺めた。園長先生(経営者)の子供に生まれて強制的に後を継がなくちゃいない人生でなくて本当に良かった。
午後は仕事をしたが土曜日に半日休むとその分纏めてお客さんが来るのでとても大変だった。丸一日休んでしまえばよかった。入園式の疲れと仕事の疲れがお酒を呼ぶ。誕生日だし飲んでしまっても言い訳は十分成立するのだが、久しぶりの酒がどのくらい翌日に影響するのか分からないのでやはり飲めなかった。飲みたいと飲みたくないと飲めないの三つが心の中で喧嘩するので夕方は本当に鬱陶しい。
入園式

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