車1台しか通れない踏切ってあるじゃないですか。明文化されたルールがあるわけじゃないけれど、対向車がいる時は先に踏切に着いた車が先に渡りますよね。遮断機が下りているときも先に停止線に止まった方が遮断機の手前で待ち、遅れてきた対向車は踏切手前で邪魔にならないように待機して相手がいなくなってから渡る。「先に渡ります」という意思表示を兼ねて遮断機前で待つものだと思っている。
普段の移動手段は原付なのだけど、こういう踏切は稀にトラブルになる。昨日もトラブった
遮断機が下りていて遠くに対向車が見えた。でも自分の方が先に踏切に着く。対向車が渡れないように車道の真ん中に停車する。こうして意思表示しておかないと突っ込んでくる車がいる。バイクなんだからすれ違えるだろうという傲慢な人は一定数いる。恐らくすれ違うことはできるだろう。でも対向車がきちんと端に寄らなければ脱輪の可能性がある。そして無理に突っ込んでくる車はほぼ嫌がらせのように除けない。そこまでのリスクをこちらが負う気はないので真ん中に止める。車も原付も1台には変わりない。
昨日の車はそうやって自分の進路をふさがれたことが気に入らなかったらしい。僕が先に踏切を渡り終えた時にライトをハイビームに変えた。明らかな目つぶし行為である。イラついたので原付を止め相手の車に近づくと運転席のドアが開き、爺が「なんだぁてめえは!」と怒鳴ってきた。
「なんでハイビームにしたんだよ」
「あぶねぇからだ」
「あぶねぇのはお前だろ」
「バイクを真ん中に止めやがって。警察呼ぶからな」
何故か喧嘩を売ってきたくせに警察が僕を怒ってくれると思っているようだ。ここで現場からいなくなると好き勝手言われて面倒になるなと付き合うことにする。助手席の婆も出てきて二人でスマホをいじっくっている
「後ろから車が来てるから退かせよ」
「おめぇの指示なんて受けねぇよ」
仕方ないので僕が後ろの車に歩いて行き事情を説明する
「どうしちゃったの?」
「すれ違いでトラブルになってるんですけど、言っても車退かさないんですよ」
「何でそんな事になってんの」
「時間掛かりそうなんで横の空き地から抜いちゃってもらえます?」
そんなやり取りをしてから現場に戻る
「早く警察呼べよ」爺が言う
何故か僕が警察を呼ぶことになっている
「お前が呼ぶって言ったんだろ。お前が呼べよ」
「警察なんて呼ばねえよ」
急にトーンダウン。二人してスマホをいじっていたのは何だったのだろうか?車を動かさなかったのも警察に自分の車の位置が悪くない事を教えるための現場確保だったようだが…
「早く警察呼べよ」
「きちがいきちがい」
会話が成立しなくなり自己紹介が始まったので、その場を離れる。警察呼ぶって言えば逃げ出すとの算段だったのだろうが、自分が悪くないのに逃げ出す必要もないよね。出来れば本当に警察を呼んでもらってどちらが怒られるのかその結果を知りたかったんだけどな。尻すぼみ。逃げられないようにドライブレコーダー付いてることを教えてしまったのが却って良くなかったのかもしれない
もちろん、こんな不毛なやり取りをしても人生には一つも役に立たない。うんざりするだけだ。本当はハイビームにされても「はいはい」と嘲笑ってすり抜けてしまえば良いのだろう。でもな、そうやってその場を収めてしまうよりガーガーやってしまった方が後を引かない。でもあの基地外爺と自分が同レベルの争いをしていたのかと思い返すと、自分の器の小ささにがっかりするのです…