帰宅して直ぐ洗濯機に放り込めるように薄いアウターを選ぶ。気温は低いが風が無くて助かった。19時半に家を出て19時45分の電車に乗る。飲み会は19時45分開始だが、3時間飲み放題らしいので急ぐ必要はない。敢えて遅刻する。殆ど電車に乗らないので帰宅時間帯の電車の混み具合を見て辟易する。自分が乗るのは上りなので全然混んでいないのだが、沢山の人間がうねりのように動く様がグロテスクに見える。毎日ああいう集団に囲まれると慣れてしまうのだろうか?皆が喜んで選択している訳ではないだろうが、見ているだけで疲れる。
手袋をしていたので電車内ではスマホを弄らず広告を見て過ごす。見た事の無い広告だらけでとても楽しい。プロレスの広告がやたら派手で数分何の広告か分からなかった。ごついおっさん二人がごてごてした服装をしていてまわりはビカビカした装飾で溢れていた。
目的の駅に電車が滑り込んで止まる瞬間、飲み会に行きたくなさ過ぎて泣きたくなる。実際に泣くことは無くても泣きたいような気持にはなる。でも仕事みたいなものだから頑張って降りる。スマホのモバイルスイカがきちんと反応してくれるかヒヤヒヤしながら改札を通る。駅から居酒屋まで5分、前をノロノロ歩いている女性を追い越すが、追い越してしまったら急いでいるみたいでちょっと違うなと思う。
居酒屋は個室が多かったが、個室というより座敷牢のような狭さだった。でも広い空間よりは感染確率は低いだろうと安心するものの、店員が皆マスクをしておらずあぁ嫌だなと思う。元気の良い若者が大きな声を出しながら料理や酒を運ぶ。僕はもう時代に取り残されてしまったのだろう。3密も黙食も時代遅れなのだ。居酒屋なのに煙草の匂いは皆無でオーダーはタブレットだった。
3時間、とりとめのない会話が続く。半分以上は昔話だった。そういう世代が集まっているので仕方が無い。収穫としては参加した先輩のお店で元奥さんが働いているのを知った事だ。知ったからといって利用価値も無いのだが、まずはきちんと仕事をしているのは良い知らせだと思う。養育費の支払いもあと5年で終わる。
帰りの電車は22時40分だったので気持ち悪くなるほど混んでいなかった。駅に着いて歩くと冷気が心地よい。セブンイレブンでおにぎりを買いたかったが、面倒になってやめた。23時の世界は既に深夜のような静けさで、車の音も殆どしない。最近は22時には布団に潜りこむが、こうして嫌だった飲み会の帰りに深夜の雰囲気を味わいながら歩くととても気分が良かった。まるで高校生の頃3時くらいまで勉強して部屋の窓を開けた時の、恐ろしいほど静かで寂しい空間に入り込んでいるように感じた。深夜は好きだ
無事に家に辿り着き、シャワーを浴びる。とmこさんと子供は実家に避難させているので家の中は静かだ。そして散らかっていない。おにぎりの代わりにアポロチョコを15粒ほど食べ、直ぐに眠りに落ちた